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摩擦抵抗を極限に下げるということ

2019.05.07

KOGEL

自転車メディアでのベアリングにまつわる記事を読むと、ベアリングのクオリティは摩擦抵抗のテストによってのみ比べられているように思われ、より軽く回転するベアリングがより良いものだと言っているようです。

ベアリングの摩擦抵抗の主な原因について考えてみましょう。ある程度の品質のベアリングにおける抵抗の主な原因はシールとグリスです。シールがレース(外輪)に接触する割合が大きいほど摩擦抵抗が上がりますが、より外部からの汚れに強くなります。グリスも似た作用があり、耐水グリスは抵抗を大きく生み出しますが高い保護性能があります。軽いオイルやワックス由来の潤滑油は摩擦抵抗を著しく下げますが耐久性に欠けるというのはチェーンオイルに傾向が似てるかもしれません。一般的に一番良いとされるベアリングは摩擦抵抗のないシールに軽い潤滑油を薄く塗布したものとなります。いっそのこと世界で一番のベアリングはシールも潤滑油も無いものと言っていいかもしれませんが、感の良い方は世界で一番のベアリングが最低の耐久性であることに気づくことでしょう。

シールもグリスもなし。このプーリーはどんな摩擦抵抗比較テストにも勝つ準備万端だが、まだこれがバイクに対して世界で一番のプーリーであると我々は見なしていない。

最良のベアリングを作り上げるのは綱渡りのようなものだと思います。例えばハンドルバー、みんな軽いハンドルバーは好きだけど軽過ぎるものは好きじゃないですよね?我々はメジャーブランドに組み付けられているような平凡なベアリングの何光年も先を行く高品質ベアリングを作り上げることができます。これは、摩擦抵抗の98%をベアリングから絞り出すことが可能であると同時に、残りの2%の抵抗を減らすためには不本意ながら耐久性を妥協する必要があることを知っているということです。

回転の軽さのみを積極的にアピールするベアリングは日常的な使用にベストな選択と言えるのかどうか、改めて考えていただき選択基準としていただければ幸いです。

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