軽いBBとは?
2019.05.16
KOGEL

車体重量にこだわる方にとって、新たに組み付けるパーツの重量はとても気になる部分だと思います。10グラム1万円という世界ですからパーツ選びも自ずと慎重になるものと想像しますが、ボトムブラケットに軽さを求めるとどうなるのか見ていきたいと思います。
ベアリングの重量
コンポーネントメーカー純正のBBに付属するベアリングはオールスチール製ですが、KOGELの場合ボールベアリングはセラミックなのでスチール製より30%ほど軽い。トータルでどれぐらい軽くなるか算出することはできますが、その差はとても僅かなものとなり組み付けに使用したグリスなどの質量でチャラになるレベルです。フルセラミックベアリングであればもう少し軽くできると思いますが、BBは高負荷がかかるパーツなのでいずれベアリングが割れてしまいます。ちなみにKOGELのBB30用のベアリング重量はCROSSシール付属で45g、シマノ/GXP用だと一回りベアリングが小さくなるので若干軽くなります。
ボトムブラケットの重量
BBの軽量化は難しい作業です。BBはクランクとフレームの間にある連結パーツで、直にではないですが脚とリアホイールを繋ぎます。プロレベルとなるとBBにかかる圧力、トルクはとてつもない大きさとなりますし、荒れた道路などで受ける衝撃も大きなものになります。BBが車のトランスミッションに例えられなくもないと感じる理由として、その部分が曲がりやすかったりしっかり作られていないものは不安だからだと思うのはKOGELだけではないはずです。
ドリルでボディに穴を開けたり肉薄に仕上げることで軽くすることは可能ですが、それだとカップの強度が極端に落ちて高負荷時に変形(たわみ)を繰り返し異音発生の原因となります。また、カップの変形はベアリングにも負荷がかかり、偏摩耗などを起こす原因となります。KOGELのボディは頑強なCNC切削されたアルミカップでベアリングを格納し、スーパースプリンターの脚力にも耐えうる強度を備えています。また、KOGELは多少重量増になったとしてもユーザーフレンドリーに重きを置き、BBを取り外す際に工具がかかりやすいように性能的には必要のない突起物やヘリを内部に設けています。大事なフレームが傷だらけになるより数グラムの重さを許容するほうがより良い選択と言えるかもしれません。
ディレイラープーリー
コンポーネントメーカー純正のプーリーは樹脂製でアルミ製のプーリーに交換することで多少ですが軽量化は可能です。ホイール同様回転体の軽量化は性能に好影響が期待できますが、軽ければ良いというものでもありません。行き過ぎた軽量モデルは強度が乏しいので破損しやすく、そうなると後はディレイラーごとホイールスポークの中へダイブするだけとなるので、その代償は想像できるかと思われます。KOGELのプーリーはお世辞にも超軽量モデルとは言えませんが、十分な強度を与えてフルセラミックベアリング仕様やオフロード仕様などのバリエーションで各方面でのハイパフォーマンスを支えます。
ということで、軽量パーツがいつも良いとは限らないということについてお伝えしてきましたが、軽さを追求し過ぎた強度不足のパーツはそれで得る恩恵よりも多くの労力を費やすことになる場合が多いです。賢明なパーツチョイスは損得の絶妙なバランスを見極めることで、それがバイクにとって最大のパフォーマンスを導き出す近道になるのではと思います。