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SIDI 2023.07.07

【第2回】SIDI 世代を超えてつなぐサイクリングシューズ「誰も知らないSIDIの魅力とは?」

サイクリングシューズ「SIDI(シディ)」をテーマに、世代を引き継ぎながらインタビューを行う本企画。

第二回は、神奈川県横浜市で自転車店を営む BIKETOWNオーナー 横山昭弘 氏にお話を伺いました。

BIKETOWNは、横山氏が「自分が使うなら」という目線でセレクトしたこだわりの商品が並ぶスポーツ自転車ショップです。実際に自分で試して、納得したものを売りたいという横山氏の想いが詰まったショップで、SIDIも長年に渡って取り扱いがあります。

今回は、SIDIの歴史と進化を知る横山氏に、皆さんの知らないSIDIの魅力を教えていただきました。

―SIDIに出会ったのはいつですか?

出会ったのは23年前ですが、その時僕はSIDIを履きたくなかったんです。お店を始めた頃はとにかくあまのじゃくで、定番は絶対嫌だった。以前はオートバイレースもやっていましたが、オートバイでもロードバイクでもみんなSIDIを履いていましたからね。

―どうしてSIDIを履くようになったんですか?

色々なサイクリングシューズを履くと、SIDIはやっぱり王道なんだな、性能も高いんだなってことが分かり始めました。みんなと同じみたいで嫌だけど、これが正しいんだってことが分かって履き始めました。今は本当に良さを知っているのでSIDI一本です。でもそうは言っても今もいろいろなサイクリングシューズに興味はありますよ。

―SIDIとの違いはありますか?

最近はアウターが柔らかくてソールが硬くて平べったいシューズが多いですね。形も寸胴で足に沿っていないのにワイヤーとかで無理やり締めているから足の裏側が凝りやすい。ところがSIDIは足の形に合わせてサポートするように革が縫製がされているので、足がリラックスした状態で履けるので凝ることはほぼありません。

サイクリングシューズにはいくつか重要なポイントがあります。

例えば、SIDIの上位モデルのタン。自分の足に合わせてセンター位置が固定されるように、片側にマジックテープが装備されています。脱ぎ着する際にはテープの無い側をめくれば、足を通した際に必ず元の位置で固定されます。また、締め付け機構が上部に位置することで転倒の際の破損を回避しています。

さらにトップモデルの「SHOT2」では、ダイヤルがセンターに来ていることも特徴の一つですね。ダイヤルがサイドについていると片側だけが引っ張られますが、センターにある場合は均等に締めることができます。これはシューズをフィットさせるのに、すごく大切なことです。

ただセンターに固いものがきていると、漕いだときに当たって痛いんじゃないかと思うでしょ?ところがSIDIの場合はタンの裏を見てもらうと、ここだけクッションが入って厚く作られています。タンの裏がこういう仕組みになっているのは、それを防止するためだと思います。

タンの上部にはエッジが足首に当たって痛くないように切れ込みがある。こういった加工の一手間もSIDIのこだわり。

さらに足の固定方法も重要です。SIDIはワイヤーによる線の固定ではなく、アッパー全体の面で固定するようにできています。ワイヤーを締める前からアッパーが足に沿って湾曲してますよね。これはサイクリングシューズの中で足そのものが面で押さえられてるっていう証拠なんですよ。ソールも平らではなくて足の形に沿うように作られているので、足全体を包み込んでリラックスした状態でペダルを漕げるようになっています。他のメーカーは大体、こういった手間のかかる革の縫製はしないです。

―実際にお店でSIDIは売れていますか?

「SHOT2」を選ばれる方は多いですね。実際に売れ行きはどうなんですか?

―昔から履いている方はSIDIじゃないとダメっていう声が多いですが、最近は変わらないねと言われることも多いです。テクノロジー的にはすごく進化しているんですけどね。

確かに技術的にはとても進化していますよね。でもなかなか気づいてもらえないんだろうな。SIDIは他社と違って、安いモデルから高いモデルに向かってどんどん良くなります。他社だと安いモデルの方が良かったりする場合もありますが、SIDIにはそれがないですね。

―そんなことあるんですか?

ありますよ。他のブランドで高いモデルを2足買ったけど、全然ダメでした。普通は高い方がいいだろうと思うけど、ソールが硬すぎて安いモデルの方が良かったです。

―最近はインソールを入れる人もいますよね?

SIDIの場合は、シューズ自体が足の形に沿っているのでインソールを入れる必要が全くありません。他社でインソールを入れる必要があるのは、シューズが足に沿っていないからなんですよ。そこが決定的に違いますね。

SIDIのシューズはアーチサポートがついていて、土踏まずのあたりが立体的になっているので上から押しても沈みません。他のブランドの多くは、ただ平たいだけなので下駄を履いているような感じです。もちろんペダルに対して力を加えやすいように硬いのはいいんですが、板状だと普通の人は扁平足ではないのでソールと足の間に隙間ができてロスが発生します。

それを考えてデザインされているからSIDIは特別なインソールを入れる必要がないんでしょうね。SIDIも「そんな必要はない」と言っていると思います。

土踏まずのあたりが立体的に縫製されているのは、アッパーの縫い目からも分かる

―アッパーの違いはありますか?

足をサポートするように革の縫い合わせを考えて作られています。他社はそれができていなくて、ワイヤーやベルクロで締め付けることで足に靴をフィッティングさせようとしているんだけど、それはただ締めているだけ。締めている部分は確かにサポートされるんだけど、それ以外の部分が全然サポートされないので実はダイレクト感がないんですよ。だからSIDIは履いた時に軽く感じますよ。

―重量のことは気にされる方も多いですよね。

数値的には軽くないかもしれないけど、サイクリングシューズは数値的な軽さだけではないですよね。足にフィットするから軽く感じる。

―サイズについてはどう思いますか?

サイクリングシューズはぶかぶかで履いている人が多いです。実際にお客様の中にも43サイズを履いて来店された方が、サイズを測ってみたら40.5サイズだったということもありました。ぶかぶかのシューズを履いていると、せっかくシマノの赤いクリートをつけていても、結局はシューズの中で足が動いてしまってペダリングがブレるので膝が痛くなってしまったりしますよね。

靴はけっこう重要です。それでも靴のことを考えて履いている人は少ないんじゃないですかね。僕がフィッティングしてきた中では、メガサイズはほとんど居ませんでした。本当にメガサイズしか合わないという人は少なくて、自分の足が広いという思い込みで大きいサイズを買っているんじゃないかな。

―サイズを選択する時のポイントは?

足の指がシューズに触れるか触れないかくらいのサイズ感が大切ですね。指が完全に当たってしまっているのはダメですが、触れているぐらいで履くのが丁度いいです。それ以上はブカブカですね。その辺りはフィッティングの際にしっかりと見ています。

―他にシューズ選びでポイントとなるところはありますか?

あとはカカトも大切です。カカト部分が押さえられていると紐を絞めていなくてもフィット感が上がるんですよ。SIDIの場合は、カカトの出っ張りに合わせてカップがついています。そして「SHOT 2」は特に、アッパーの革がカカト部分まで1枚で整形されているので、ペダリングで足を上げるときに靴がカカト側に引っ張られてパワーロスがないようにできています。

SIDIにはヒールテンションシステムがついているモデルもあって、これはカカトのフィット感をさらに上げることができます。幅がある人は、ヒールテンションが付いているモデルだったらハーフサイズ上を買っても、カカトが浮くことがないので大丈夫です。その選び方ができるのは他のメーカーには多分ないと思います。

SIDIのサイクリングシューズは他のメーカーと比べたら上から見た時の形が明らかに違います。初めから作りが足に沿うようにできています。ただ締め付けてフィットさせようとしている他の靴とは考え方が全然違うのが分かります。パーツがたくさん必要だったり、縫い方も手間のかかる方法なので、その分高価にはなっているけれど、わざわざそうすることで踏んだ時のダイレクト感だったり、フィット感を感じられるんだと思います。

アキレス腱の形に合わせてカカト部分がタイトになっているのが分かる

―SIDIはオリジナルのダイヤルにもこだわっていますよね。

ダイヤルもよくできています。ほとんどの人が有名メーカーのダイヤルが付いているかどうかで選びますが、SIDIがこのダイヤルにこだわっている理由があるんです。リリースする時はワンプッシュですし、ダイヤルも簡単に指がかけられて締めたり緩めたりできます。ラチェットの空回りもないし、交換も容易にできる。形状も転んで自転車が滑っていく時に引っかかって飛んで行かないような形状になっていますよね。すごくよく考えられているなと思います。

―増し締めがしにくいという意見もあります。

シューズは履く時にしっかりと装着していれば、途中で締め付けることは少ないと思います。プロ選手のように勝負が掛かった場面で締め付けているシーンも見受けますが、一般的にはそうした場面は少ないと思います。

―SIDIは同じモデルを長く履いているユーザーも多いですよね。

SIDIは壊れないですよね。アッパーとソールが剥がれちゃうメーカーも結構あります。SIDIでそういった壊れ方はまずないですね。長年履いていて、雨の日も履いたりするとアッパーが緩くなって買い替え時かなっていうのはありますけど、それでも相当年数は履けます。

SIDIはまず基本的な靴としてちゃんとできています。自転車用として良いんじゃない、まず靴として良い。その上で、サイクリングシューズとして必要な機能が色々と盛り込んであります。

―いい革靴みたいな、そんな感じですよね。

そういうことですね。だから全然高くない。だって5年じゃきかないですもんね、履ける年数。あとは確かにかっこいいは、かっこいいですね。スマートっていうかな。機能美がありますよね。作り込んであります。歴史に裏付けられていると思います。変わらないって意見もありますけど、本当はちょっとずつ変えていっているんですよ。

―履く人の足の形は基本的に変わらないですもんね。

そう。ヒールカップの高さを低くしたりとか、微妙に変わってるんだけど、それはSIDIを愛している人しか分からないのかもしれませんね。カップが低くなってる理由や、革1枚でカカトまで作っている理由を考えて履くとめちゃ楽しいですけどね。作り手の思いを感じ取れると、なるほど、さすが。と思います。

ロードバイクのパーツは基本的に性能ですからね。靴としてよくできた上に、トップ選手のフィードバックから考え抜かれたものが詰め込まれている。それは我々素人が考えても及ばないですよ。何千人という人の足型を作っているからこそ、SIDIは靴の形についてよく分かっているんじゃないですか。

お客様の中には、自分の足に合わせて作ったシューズを履いている人もいますが、やっぱり足の裏は凝るらしいです。でもそれは僕らがプロじゃないから仕方のないことですね。乗らない時もあれば、飲みすぎちゃった時とか、食べすぎちゃった時もある。いろんなコンディションがあるので、どんなにその時の自分の足型に成形したって合わない時があります。でもSIDIは誰にでも、どんな時でも合うように考え抜かれた形になってる。

―懐が広いってやつですね。

そうですね。ただ、あまりにも、ど定番すぎるんで避けられちゃうんでしょうね。機材スポーツだから新しいものや選手が使っているものを履いてみたい気持ちは分かります。でも結局はSIDIがいいって言われることもすごく多いです。軽いからとか、メッシュがどうだとか、そういう理由じゃなくて機能としていいもの。それがSIDIです。

―現在のサイクリングシューズのトレンドについてはどう思われますか?

感じるのは全体的に軽いとか、エアロであるとか、あとは締め付け方式とか、そういったことでみんながアピールしてるんじゃないかな、というふうには思います。ただ僕はあんまり今の傾向は面白くないですね。1個で全部を締め付けられるようにしたら軽くなるし、簡単ですよって理由もあるから、そういう傾向にあるような気はしますが、それは無理があると思ってます。だから、そういう本来とはズレてる方向をメーカーがやろうとしてるのはあんまり面白くないです。そういう中でもSIDIが貫いてくれてるのはいいなっていう印象は持ちます。SIDIをBOAにしたら売れると思いますよ。でもやる必要がないのと、あんまり意味がないってことを考えてやらないんでしょうね。そういう本気気質も好きです。

車好きなお客様から「フェラーリはF1をやりたいがために仕方がなく市販車を作った。市販車を売るためにF1をやってるんじゃないんですよ。」って教えてくれました。その考え方が心をつかむんでしょうね。たぶんSIDIもこれが作りたいんです。僕も一緒。これが売りたいんですよ。そこがSIDIと他社との違いですね。売れるものを作ってるんじゃないんですよ。これを作りたいんです。パッションです。情熱なんですよ。

―最後に横山様の仕事の原動力を教えてください。

基本的に真面目だからじゃないかな。多分。エンジニアをしていたサラリーマンの時からそうだった。何かトラブルがあった時には、例えば給料をマイナスにしてでも自分の責任を取りたいって気持ちがあって、それが今は本当に好きなことをして対価をいただいている。だから嘘はつけないですよね。日々自転車に乗っていなかったら何も語れない。だから原動力って言うと、好きって事と真面目って所かもしれませんね。

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