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TECHNICAL INFORMATIONテクニカルインフォメーション 1. タイヤの基本構造とハンドメイドタイヤ

どのようにチャレンジのハンドメイドタイヤが作られているのか。その特殊な工程を理解するためにまず初めにタイヤの基本構造を理解する必要があります。
タイヤは基本的に以下のパーツで構成されます。

  • ケーシング(タイヤの外形を成形する強度部材、用途やグレードによって様々な素材で構成される)
  • トレッド(地面と接触するゴム製の部材、用途やグレードにより素材やパターンが異なる)
  • ビード(クリンチャーの場合、リムに嵌合する部分の内側に通る補強素材でケーシングの張力を支える)
  • インナーチューブ(チューブラータイヤの場合、予め内側にセットされている)

世界中のタイヤの約98%が合成ブチルゴム※1で成形されたナイロンケーシング※2とトレッドで作られたクリンチャータイヤです。
それらの構成パーツは加熱・加硫処理されて様々なクリンチャー用リムに装着されるべく予めU字断面型に一体成形されます。
この構造は耐久性と製品寿命の最大化、生産コストの最小化を実現し、自転車のみならず車や、オートバイ、飛行機などのほとんどのタイヤがこの製法で作られています。

  • ※1. ブチルゴム(加硫ゴム)
    ブチルゴムはよく弾ませるためにサッカーやバスケットボールなどのブラダーに使われる素材で、タイヤ以外にも一般的な自転車のインナーチューブにも使われています。
    主なブチルゴムの特徴はその価格の安さと弾性、そして硬さです。
  • ※2. ナイロンケーシング
    ナイロンケーシングはメッシュ状のプラスチック素材をベースにブチルゴムでコーティングしたもの。で基本的に3つのTPI※3(30, 60, 120)に分けられ、主に廉価モデルのタイヤに使用されます。
    180TPIのような120TPIより高いスレッド数のナイロンケーシングは1レイヤーでは実現できないのでケーシングを三重にして3×60や180TPIと呼んでいます。
    この手法はTPI値と同等のケーシングクオリティを期待するのは難しいですが、スペック上の数値としては間違っていないとも言えます。
  • ※3. TPI
    Thread per inchの略で1インチあたりの繊維数を指す。

チャレンジのハンドメイドチューブラーとクリンチャー

まずは一般的なタイヤ構造を確認したところで、次にチャレンジのタイヤについて細かく見ていきたいと思います。
チャレンジのハンドメイドタイヤはタイの自社工場で全て製造されています。タイに製造拠点を置く理由は天然ゴムの資源が豊富で、原材料の管理はもちろんのこと産業としてもっとも発達している場所であることが挙げられます。他にも大手タイヤメーカーの工場も同じタイ国内にあります。
ではチャレンジのタイヤがどのように作られているのか、カテゴリーごとに見ていきましょう。

CHALLENGEのハンドメイドタイヤ

HTUチャレンジハンドメイドチューブラー (チューブレスチューブラー)

コットンやポリエステル製の高TPIケーシングでチャレンジオリジナルのシームレスラテックスインナーチューブを包み込み縫合。縫合部分を覆うようにベーステープを接着、これはセメントの吸収、接着効果を維持する働きがあります。次に天然ゴムトレッドを劣化させないよう低温でケーシングに接着していきます。
特にシクロクロスのチームエディションで採用されるソフトコンパウンドのトレッドはこの製法でなければ作ることができない仕様で、コットンケーシングのしなやかさと確かなグリップ性能は数多くの世界チャンピオンの走りを支えてきました。また、インナーチューブの代わりにケーシング内部をラテックスコーティングすることでエアを保持し、外的ダメージからのパンクリスクを抑える次世代チューブラー「チューブレスチューブラー」もグラベルシリーズで展開。インナーチューブがなくなることで大幅な軽量化も実現。

HCLチャレンジハンドメイドクリンチャー

かつてオープンチューブラーと呼ばれていたハンドメイドクリンチャーは、チューブラーとほとんど製法が同じでケーシングを縫合して閉じる代わりに両端にアラミドビードを巻く構造が取られています。
廉価版のバルカナイズドクリンチャーは製造時にU断面形状に成形されるのに対してハンドメイドクリンチャーは平坦に成形されます。これにより装着の断面形状がU字ではなく円断面を形成し、コーナリングでバイク傾倒アクションがスムーズで安定したグリップパワーを発揮するだけでなく、しなやかなケーシングと相まって様々な路面状況に対してハイレベルな路面追従性をもたらし、結果的に減速要因を減らして優れたスピード維持を実現します。

※ハンドメイドタイヤの取り扱いについて
チャレンジのハンドメイドタイヤは最高品質の素材と製法を用いています。長寿命、高性能を維持するためには上質なワインと同じく保管や取り扱いには注意が必要です。
シクロクロスで泥の中を走った後は希釈した洗剤と柔らかいブラシで洗い流し、湿気や温度が高くない環境でしっかり乾かします。長い時間水分や日光に晒されたり高温場所に放置しないようにしてください。
予めサイドウォールにコーティングを施していますが、ハードな汚れが想定される際には事前にアクアシールなどのシーラントを表面に塗布しておくことをお勧めします。

HTLRチャレンジハンドメイドチューブレスレディ

リムとタイヤの規格が統一される動きに合わせてそれに準拠する形でリリースされたハンドメイドチューブレスレディ。通常のハンドメイドクリンチャーと同じ天然ゴムトレッドとポリエステルケーシングを使用し、内部に特殊コーティングを施し、シーラントとの併用で高い確率でエア漏れを防止。
ビード部分にも特殊コーティングを施すことで、着脱時のビード部分の劣化を抑えてそれを起因とするエア漏れを防止します。通常のチューブレスレディホイールに対応しますがフックレスリムへは非対応となります。

CHALLENGEのバルカナイズドタイヤ

VCLバルカナイズドクリンチャー

メッシュ上に成形されたナイロンケーシングと合成ブチルゴムで構成され加熱・加硫処理されたクリンチャータイヤで、世界のタイヤの98%がこの製法で作られています。
ナイロンケーシングはナイロンネットとブチルゴムの割合が5:5〜7:3(TPIによって変わる)となるように加工されますが、チャレンジではナイロンケーシングの中でも トップクラスの密度となる120TPIのものを採用しケーシングのゴム含有率を下げて柔軟性を稼いでいます。
合成ブチルゴムの特性上、摩耗などへの耐久性や耐候性に優れる一方で、ケーシングのしなやかさや転がり抵抗ではハンドメイドタイヤに及びませんが、コストパフォーマンスに優れておりホビーライダーのデイリーユースに適している素材と言えます。

TLRチューブレスレディ

TLRチャレンジが近年TLR(チューブレスレディ)の紹介を始めたのは自転車のリムやタイヤのISOやETRTO規格がようやく整ったことにあります。
これらの規格は安全にタイヤをインストールするのに必要なスキルや方法を確かなものにします。
障害物に強くヒットすることによって起きるリム打ちのパンクを解消することができるのと、チューブを使用しないことで軽量化に繋がる(実際はシーラントを充填するので極わずかの差)など、特に悪路走行時に性能を発揮します。
2020年モデルからはハンドメイドシリーズでもロード、グラベル用でチューブレスレディをリリースし、チューブレスをネクストレベルへ押し上げる革新的な製品を送り出しています。

TECHNICAL INFORMATIONテクニカルインフォメーション2. ロードショックと転がり抵抗

ロードショックと転がり抵抗

どのようにしてバイクを介してロードショックが身体に伝わるかを理解することは重要です。
道路やトレイルを走っている時に路面のヒビや穴、石などがタイヤ表面と直角に衝突します。この衝撃力は垂直方向と水平方向の2つに分かれます。
垂直方向の力はホイール、スポーク、フォーク、フレームを介して手や脚、背中に伝わります。この力は痛みや疲労を発生してトラクションの低下を引き起こし、特にウェット環境ではコントロールを失いがちです。
20年前は鉄、チタン、アルミ製のフォークやフレーム、コンポーネントがある程度の衝撃を吸収してきました。
現在のレーシングバイクはほぼ全てのパーツがカーボン製で、パワー伝達効率が進化したことでほとんどの外的衝撃がライダーに伝わってしまいます。
15分ぐらいなら耐えられるかもしれませんが、1時間経つと蓄積された衝撃は痛みや疲労に変わります。適切な空気圧のタイヤの弾性率は残りのカーボンバイク部位全体の20倍以上にもなります。
すなわちタイヤには痛みだけのライドに快適性やコントロール性能を戻す働きがあるということです。
チューブラーに代表されるしなやかでコシのあるケーシングを使用したタイヤは路面追従性を維持するので最適なトラクション、グリップ性能を保ちます。

ロードショックによる衝撃力の伝わり方

もう一つの力、障害物からの水平方向の力はホイールやバイクを後方へ押し戻す作用をもたらし、推進力の低下をライダーに強要します。
ベロドロームでの高圧のスリックタイヤ走行ではその転がり抵抗は極めて小さいものの、屋外のコンクリートトラックや公道、ダート、トレイルでは小さな路面の欠陥でさえすぐさま抵抗を増大させます。
ヒビや穴などのある整備不良の道路やグラベル、トレイルでは2倍、いや4倍の転がり抵抗が発生すると言えます。
つまり、サスペンション機能を備えていないロードバイクやシクロクロスバイクの場合、タイヤの性能がライダーへの負担軽減に大きく影響することが考えられ、高性能タイヤは長時間のライドを快適にすることはもちろんのこと、推進力への伝達効率も高い水準で維持できると言えます。

トレッド、ケーシング、ラテックスチューブの超しなやかな特性の恩恵でしなやかでコシのあるハンドメイドチューブラーとクリンチャーを作ることを可能にし、路面状況に応じて最適に変形することで優れた転がり抵抗削減をもたらします。
Wheel Energy and Tour Germanyによる最近の調査によると、ブチルチューブからラテックスチューブに交換するだけでホイール1つに対して最大3ワットの削減が可能とのこと。
つまり、この優れたラテックスチューブにチャレンジのしなやかなケーシングとトレッドが加わることで、
タイヤが路面から衝撃を受けた際に跳ねてトラクションを一時的に失って失速したりライダーに強い衝撃を伝える代わりに、それが存在しなかったかのようにタイヤがショックを吸収し障害物に対して最適に変形してトラクションを維持したまま乗り越えていく、ということです。

TECHNICAL INFORMATIONテクニカルインフォメーション3. ハンドメイドタイヤを構成する高品質素材

ハンドメイドタイヤに使用される高品質素材

  • SILK
    SILK (SETA) ULTRA S CASING
    伝説のセタケーシングのセタとは絹を意味します。シルクで作られた高級ブランドのスーツやスカーフ、シャツのような最高品質のケーシング。自家培養したカイコから紡績した絹糸は天然の繊維の中で一番強度が高く、TPIも1,000+という数値を獲得。シルクは強靭かつしなやかでもっとも優れたケーシング素材ですが、かなり高価でこのレベルの品質は世界戦レベルの競技に特化した取り扱いが難しいスペックと言えます。しかしながら、その優れたしなやかさとコシは至上のケーシングとしてレースシーンに君臨しています。
    このセタケーシングはウェットコンディションでも使用可能です。ケーシングの表面は天然のラテックスでコーティングされています。もしコーティングが磨耗してしまった場合には、市販のシリコン製シーリング材もしくはウレタン系の接着補修材を塗布することで防水性を維持することができます。
    タイヤが濡れた場合、ケーシングを保護する天然のラテックスは高温のヒーターや直射日光などで乾燥させると硬化してしまいますので、直射日光の当たらない風通しの良い場所で自然乾燥させてください。
    より防水性を高めるためには、タイヤを貼る前にベーステープ部分にリムセメントを2回程度塗布すると、縫い目からの水分の浸透を抑えることができ効果的です。
  • CORESPUN COTTON SC S and TE S CASING (S logo)
    コットンはService Course Sグレード(SC S)、Team Edition Sグレード(TE S)に使用されるケーシングで、コットンは元々柔らかくしなやかなので特にオフロードでの取り扱いに注意が必要です。水分を吸収しやすいのでより耐久性の高いポリエステルケーシング仕様よりもしっかりと洗って乾かさないと残った汚れからカビが生えて腐食が進行する可能性がありますが、製造時にS CASING SEALANTでコーティングしているのでオンロードでのウェットコンディションにはある程度の耐性があります。シリアスライダーにとって価格と性能のバランスが一番優れたグレードと言えます。
    Corespun(コアスパン)とはポリエステルの芯にコットンを織り込んで仕上げた繊維です。1インチあたりの総繊維数であるTPI(Thread Per Inch)を更に向上させ、コアスパンで最高密度の320TPIを採用。TPIの数値が高いほど、繊維の密度はより細かくしなやかに、そして軽量になり、タイヤとして性能が向上します。
  • PPS AND PPS2 (PPS, PPS2 logo)
    バンクの発生を抑制するために特別な素材で作られた耐パンクプロテクションストラップ(PPS)がトレッドとケーシングの間に施されています。荒れた道の走行用タイヤには、PPSに加えてケーシングとインナーチューブの間に更に耐パンクプロテクションストラップ(PPS2)が施されています。
  • LATEX
    ラテックスインナーチューブ (LATEX ロゴ)
    他社のラテックスチューブのように断面を重ねて接合する代わりに、Challengeのラテックスチューブは接合部分が無いので余分な重量増がなくスムーズな転がりを実現します。
    ラテックスチューブは天然ゴムの柔軟特性からハンドメイドタイヤが荒れた路面に追従する形で最適な変形を助ける働きが挙げられ、大幅な転がり抵抗削減をもたらします。耐パンク性の高さも特徴の一つです。
    最近の公開テストによると、ブチルチューブからラテックスチューブに交換することによって1ホイールあたり最大3ワットセーブできるとのこと。バイク1台あたり最大6ワットのセーブとなりますので、手軽に性能アップを図ることができて効果が期待できると言えます。
  • S
    SOFTER S COMPOUND TREAD (S logo)
    チャレンジのハンドメイドタイヤのいくつかには柔らかいトレッドが用いられていることから”S”はより柔らかくしなやかなという意味も込められています。シクロクロスのTEAM EDITION(TE)グレードは昨年サポートした5人の世界チャンピオンのフィードバックを元に更なる改良が施されています。このソフトなトレッドは屋内トラック用タイヤにも用いられ、イギリスの屋内トラック競技活動をサポートするべく開発されました。
  • POLYESTER PRO CASING
    スーパーポリエステルはハンドメイドタイヤのラインナップ上最も安価な素材で、強靭で水を通さないがコットンやシルクに比べると柔軟性やしなやかさでやや劣ります。費用対効果の高いプロレベルのタイヤというコンセプトから生まれ、チャレンジでは220〜300TPIのポリエステルケーシングを採用しています。特に300TPIのスーパーポリエステルケーシングはコアスパンと同等のTPI値となっており優れた走行性能を持ちながら耐候性に優れた使い勝手の良いケーシングとして人気を集めています。
  • NATURAL RUBBER TREADS
    合成ゴムは性能や快適さ、コントロール性を犠牲にして寿命を延ばすために加熱による硬化処理が行われます。チャレンジのハンドメイドタイヤに採用される天然ゴム製トレッドには性能や快適さ、コントロール性を妥協することなく相応の耐久性が与えられてます。他社の合成ゴムトレッドと比べて10〜20%ほど摩耗が早いですが、それ以上に優れたパフォーマンスと共に充実したライドライフを提供することを保証します。
  • CHALLENGE S CASING SEALANT (S LOGO)
    シルクやコットンケーシングを保護するために特別な耐水コーティングを製造時に施しています。この新しいシーラントはケーシングを軽くしなやかに保ち、レース後の面倒な処理を省いて寿命を維持する役割を担っています。従来のCHALLENGEタイヤは、AquasealやAquasureなどをケーシングに塗布する必要がありましたが、それも今は過去の話です。
    ※ハードな泥などの汚れが予想されるレースについては、更にシーラントでコーティングするのがベターです

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